マラ7攻略日記(水響 ホルン編) 第6回 (1999/7/11)

アシの苦悩

7/11(日)  7回目の練習日

【注意】

 この回はホルンの1アシ(*1)による代筆です(*2)。本来の目的(アマチュア奏者によるマーラー攻略法考察等)を期待していらっしゃる方はこの回は読み飛ばしましょう。

【代筆の経緯】

●代奏依頼
 「欠席時は代奏者を」を社会人の常識として推奨しているこの日記の本来の作者M氏(都合により以下大将)から、7/11の練習の代奏依頼を受けた。仕事の都合とのことだがアシというのはそういうときのためにいるものなので、もちろん引き受けた。

●根回し失敗
 しかし、アシをつけるほどの曲なのだから、しがないアシに一人で吹けるわけがない。と思っていたところへ、前プロ「パリアメ」の2nd代奏依頼が舞い込んだ(大将の教育が行き渡っている証拠)。これはと思い、「パリアメ1stのS君がマラ7の1アシをやってくれるなら代奏を引き受ける」という回答をしたところ、S君より「その日は友人の結婚式2次会の出席準備のためさっさと帰りたいのでアシはできません。」と言う内容を大変丁寧な言葉で表現した返事が届いた。やはり抱き合わせという歪んだやり方に天罰が下ったのか。根回しは失敗した。

●追い打ち
 うちひしがれるアシの元へ、さらに、「マラ7攻略日記も書いてくれませんか」という依頼が…。人様のお役に立てるだけの技術をもたないアシとしては、諦めてくれることを祈って返事をしないでおいたところ「絵日記でも何でもいいですから」というフォローがあり、しぶしぶ引き受けることに。

【ところで、アシって?】

●アシの役割
 アシには以下のような役割があると考える。

1)体力的にきつい曲においてできるだけ音楽的に差し支えのないところで正奏者と交代し、正奏者のスタミナをサポートする。
2)音量が欲しいところで人数を増やすことで無理なく響きをつくり、指揮者の要求に応える。
3)練習において正奏者に欠員がでた場合代奏を行う。
4)物理的に演奏困難・不可能箇所がある場合に、人海戦術で問題を解決する。

 4)は、オープンとストップがスラーで続くフレーズでストップのみアシが吹いたり、ミュートとオープンの間が1拍しかないときにアシがミュートはずしを手伝ったりすることだ。後者を水響ホルンパートでは手アシと呼ぶが、チューバの手アシなどはなかなか舞台映えするのでは?と憧れを感じたりする。

●水響マラ7のホルンの場合
 今回は、アシが吹く箇所は、楽譜に鍵括弧([ ])で印が着いているところだ。普通は合奏をとおして、徐々に上記1)、2)の場所を正奏者が決めるのだと思うが、ここで言っている鍵括弧は、マラ7のレンタル譜に直接記入してある(つまり、どこかの国のどこかのオケのホルン奏者が記入した(と思われる))鍵括弧である。
 大将が「一応、書いてあるとおりに吹いてください」と言ったときはそんなんでいいのかな、と思ったが、回を重ねる内に「さすが原譜に書き込んだまま返却するだけのことはある」的確なアシの使い方だと思えてきた。なかなか1st奏者の休みたい心をつかんでいると思う。
 「誰が吹いてもつらいところは一緒」ということかもしれないが、稀に全然疲れない1st奏者がいて、アクロバット的なアシの使い方をしたり(例:H橋オケのマラ9)、アシが気を利かせてきついフレーズののばし音をサポートしたところ「あいつは俺の世界に土足で踏み込んだ。次回からクビだ」と怒ったりするケース(H橋オケでも水響でもありません)などがあり様々だ。

[以下業務連絡]よって、わたしは言われたところしか吹くつもりはありませんから「応援するより吹いて欲しい」(*3)とは、あ・ま・いな、大将。[以上業務連絡]


【ところで7/11の練習は】

●Nachtmusik
 代奏を依頼された日の練習は、3、2、4楽章であった。1、5楽章がないので、アシを断られたものの体力的には何とかなるかも、という希望と、しかし2、4楽章はソロの嵐だし、という絶望感を抱いて練習に臨んだ。Nachtmusik(2、4楽章)はこの交響曲のsoulであり、マーラーはsoulの表現にしばしばホルンを用いていると思う。

[3楽章]
 3楽章は普段は後打ちしか吹いていないので、この日初めて「細切れパッセージ」(*4)を実感し、なるほど中途半端でstressfulだと思う。始まって驚いたが、なんと3楽章の1ページ目はすべて右端の2小節が消えていた(記憶によると、この合奏で初めてアシ用の譜面を使った)。仕方がないのでカンで吹き(結構正しかったと思う)、合奏の合間にスコアから写譜したが、もちろん中途半端という感想はこのことにはよらない。

[2楽章]
 「今日代吹きの人―?」と指揮者が訊いてくださったので、元気よく挙手し認識していただく。合奏の方は「これが噂のチェルビダッケテンポ」を実感。最難関のフーガチックソロは冒頭のスラーをこけてしまった(ブレスコントロールがなってないのでしょう。ごめんなさい)が、テンポに助けられ何とか立ち直った。2度目に返したときは途中からだったので雪辱ならず。これだけは大将にかくれてこっそりさらおうと思った。

[4楽章]
 わりとよい音域で難易度も一見高くないフレーズが多いため楽しく吹けた。しかし"歌"という点では2楽章より難しいのでは?などと考えてると2ndの「♪でストップでおまけにトリルがついたフレーズ(小節番号332)を発見。1stにはこんなのがなくてよかったとしみじみ思った。1楽章だけ見て「2ndおいしいね」なんて言ってごめんね、E君。

 以上、合奏は終了した。


【アシの課題】

 アシにとって今回の演奏会最大の課題は、「集中力」である。長い待ち時間のため、気を緩めると眠くなり、曲に集中しすぎると聴き入ってしまう。どちらのケースでも、楽器が冷え(ただでさえ大将はソロピッチなのだ)、ふと気づくと鍵括弧印の直前で、ふにゃふにゃのまま出番が終わるという危険性に満ちている。特に「4楽章の過ごし方」を非常に憂慮している。

●先人に習う
 ある日「そうだ、打楽器の人に訊いてみよう」と思いついた。一般的に、待ち時間の長さにおいて打楽器は管楽器の比ではない。  某打楽器奏者に訊いてみた。「出番が少ない場合、どうやって集中力を持続させていますか。」彼女曰く、「難しい。眠くなったり落ちそうになったりはよくある。特にコンチェルトなんかはソロがうまければうまいほど聴き入ってしまい出番の準備が不十分、ということがよくある」  万全の策を期待していただけに少しがっかりしたが、その後二人で話し合い、対策を検討。至った結論は、「我に返るポイントを決めておく」ということだった。そのポイントまでは安心して曲に聴き入ることができる。あとは息がちゃんと吸えれば大丈夫(だと思うのだが…)。検証できるのはなんとG.P.のみ(*2)だが、効果を期待したい。また、良い方法をご存知の方、ぜひご教示ください。

【おわりに(団員用)】

●S藤君へ
 水響ホルン一同+トランペットのA君より、パリアメ1stホルンのS藤S一君へ。心から申し上げます。

Congratulation upon your marriage!!


本番まで練習はあと9回!!

アシ日記の作者へのご意見、ご感想はマラ7後略日記の作者経由でどうぞ。


※ 脚 注 ※

*1:
マラ7攻略日記 第5回参照

*2:
書かずにほっておいたところ、K松君から「頼まれたことをやらないのはいけないことだ」と諭され、心を入れ替えて書いたため、この原稿は10/18〜23にかけて執筆しました。ごめんなさい。

*3:
マラ7攻略日記 第9回参照

*4:
マラ7攻略日記 第1回参照

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