マラ7攻略日記(水響 ホルン編) 第2回 (1999/5/9)

緊張って?

5/9(日)  3回目の練習日

 今日はいよいよ2,4楽章の練習日である。
 前回は3,5楽章であり、きつくてもユニゾンが多くてごまかしながら吹けたのだが、2,4楽章はCDで聞くとソロが多いようなのでごまかしがきかなさそうだ。

●練習前のウォームアップは1905で
 いつもの通り自宅で音出しをしようと思ったのだが、寝坊してしまった(それでも7:30.1905の練習が11:00の時は9:00に家を出なければならない)。子供にごはんをやったりしているうちに早くも出発の時間に。「1905でウォームアップをするか」と覚悟を決め、音出しをせず自宅を出る。

●ダブルヘッダーはつらい
 今日の1905の練習は前プロの譜読みと1,2楽章。前プロは降りばんのつもりだったが、ホルンの集まりが悪く3rdを吹く羽目に。
 N崎さんというトレーナーの方が本日の棒振りである。ちょっと気弱そうな雰囲気であるが練習は容赦ない。2楽章を延々と繰り返したうえに、最後に2楽章全部を1回通すなどという現役さん並みの練習には、頭のなかが真っ白に。普段は涼しい顔でホルンを吹いているS藤君も「アシ」が欲しいなどと気弱な発言。


 ウォームアップのレベルをはるかに超越した1905の練習も終わり、前プロのパリアメがはじまった。

【第2楽章】
 前回の日記では、マラ7は全体的にやりやすいというような話を書いたが、それは調性のおかげもあると個人的には考えている。チャイコのシンフォニーなどはシャープ系が多く、音程が非常にとりずらい。特に目に余るのがロ長調で、音程が合いにくい上にはずしやすいF#や上のHが頻繁に出てくるので、そちらに気を取られて思うように歌えないことが往々にして起きる。
 一方、マラ7の第2楽章は、ハ長調だかハ短調だかよく分からない曲だが、ハ長調とするとシャープは1つ(ホルンでは2つ)、ハ短調とするとフラットが3つ(ホルンでは2つ)であり、フラット系が得意な金管楽器にはありがたい調性である。ソロを吹くときも余計なことを気にせずに歌に集中できるので何よりである。

●こんなに遅い?
 「チェリビダッケの再来か!」と思っても不思議ではないこの遅さ。「4分音符=88」くらいを想定していたのだが、どうやら「72」くらいのようだ。こういう遅いのもありかなとも思うが、オケはミュンヘン・フィルではなくて水響なので、とてもじゃないけど長めのフレーズは息が持たない。案の定、はじめの三重奏でホルンはつかまってしまう。

●音程はアタマからシッポまで
 はじめの三重奏は、とてもホルン向きのパッセージなのだが、アマチュアがこういうのをやると何故か決まらない。問題点はただ1つ「音程」である(「音色」はプロでも結構そろわないものです)。音を伸ばしている途中の音程が違うのは論外として、(1)音の立ち上がり(2)音の変わる直前、の2ヵ所で音程が不安定になるのが、基礎があまり出来ていない人の特徴である。世の中には、こういう音程の「揺れ」を「ビブラート」だと勘違いして自己満足にひたってしまう人も多い。ロングトーンやリップスラーの練習時に、この2ヵ所を気をつけるようにすれば、かなり改善され芯のあるしっかりした音が出せるはずである。


【第4楽章】
 ギターとマンドリンがポロポロ流れる常時平和な曲である。マンドリンと言えば、西城秀樹の妹役だった河合奈保子(字はこれでよかったかな?)は今どうしてるのだろう?今回の水響の演奏会には、是非ソリストとして呼んで欲しいものである...なんてことを考えている余裕は、この楽章には全然ない。マラ7の1stホルンの見せ場は第2楽章かと思っていたのだが、実は第4楽章であることが判明した。

●まずはアンサンブルを
 出る音出る音ほとんど皆ソロ状態である(ほかの木管楽器もそうなのかも知れないが)。さらに、楽器が少なく音が薄いので、水響のお家芸である「怒涛のような」演奏にはなじまない曲である。技量が高い個人の集団が楽しそうに余裕を持ってアンサンブルをやってるような雰囲気が出ればいいのだが...

●緊張は息のコントロールで断つ
 1stホルンに関して言えば、第2,4楽章はコンチェルトとは行かないまでも大変ソロが多い。ソロと言えば「プレッシャーとどう戦うか」というのは万人共通の課題であると思われる。普段は上手でソロもきちんと吹くのに、本番は緊張してボロボロになってしまう人をよく見かけるが、「緊張の原因の多くは息が足りないため」であることは、意外に強調されることが少ないように思う。


練習後の感想

●緊張って?
 たまにソロを本番できちんと吹いたりすると、「何故緊張しないの」と聞かれるが、緊張するのとソロがボロボロになるのは密接な関係にあるようでいて実はそうでもないと思う。
 緊張してボロボロになるプロセスは、大抵次の通りである。

(1)緊張する
(2)ブレスが浅くなる(吸う方も吐く方も)
(3)いつもと違う不安定な状態になる
(4)アンブシュア等を変えてごまかそうとする
(5)いっそう不安定な状態に
(6)さらに緊張が増してブレスがむちゃくちゃに・・・(以上ループ)
(7)ボロボロの演奏の出来上がり

 「緊張」から「ボロボロ」までのキーワードは2つ。「ブレス」「アンブシュア」である。このうち「アンブシュア」は日頃の訓練により緊張とはほとんど関係なしに自然と正しい形になるものである。したがって、「ブレス」が緊張ともっとも関係があると思われる。言い換えれば、

正しいブレスが出来れば緊張してもボロボロにはならない!!


 ブレスは(1)吸う(2)止める(3)吐く(4)止めるの繰り返しである。うまくできない人は、「吸う」だけだったり「吐く」だけだったりする。吐かないと吸えないし吸わないと吐けない、しかも実は「止める」のが大変重要である。

※効果的なブレスの練習方法
 「偉そうなことばかり書いていて、じゃあどうやって練習するの?」という疑問をお持ちの方に朗報(「朗報」と言ってもスッポンの広告ではありません)。ブレスが浅い人にオススメの練習方法である。
 起床時にフトンの上で寝たまま、ひざを三角に立てて次の練習を10〜20セット1週間やってみてください。
 (1)メトロノームを「40」にセット
 (2)すべての息を吐いて
 (3)次の練習を繰り返す
  ・1拍で吸えるだけ吸う
  ・4拍そのまま息を止める
  ・12拍かけて「s」音をたてながら息を全部吐く(音程と音量は一定)
  ・4拍止める(ここがかなり苦しい)
 


【次回以降予告】
(1)「舌と肺は同時並行的に別々の動きが可能」って一体
→次の第3楽章の練習時の日記に掲載します(名指しでお怒りのあ○ださん、お楽しみに)
(2)どうやったら美しいアンサンブルに〜音程編
→次の第2楽章の練習時の日記に掲載します

本番まで練習はあと12回!!

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※用語解説※

1905
 ショスタコーヴィッチの交響曲第11番のこと。このウソみたいにきつい曲ををやるために「オーケストラ1905」が設立され、8/29(日)に演奏会をやる予定である。

パリアメ
 マーラーの7番の前プロでやるガーシュインの「パリのアメリカ人」のこと。でも、曲の出だしはチャイナチックだし、フランスっぽさも少ない。クラクションの音はデトロイトにいるみたいで、「アメリカの支那人」ってな感じです。

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