マラ7攻略日記(水響 ホルン編) 第12回 (1999/10/3)

いよいよ臨戦体制

10/3(日)  13回目の練習日

 今日の練習を含めて本番まで練習はあと3回である。今日からは、毎回全楽章の練習を行うことになった。いよいよ臨戦体制という感じである。


【ポイント】

 これまでの攻略日記は、楽章別に気付いた点や感想などをかいていたが、今回からは全体を通じてのコメントを記載する。

●マンドリン&ギター登場
 ついにマンドリンとギターが合奏に登場した。ホルンの方にはあまり音が聞えないが、やっぱり入ると全然やりやすさが違うものである。
 ローマの祭り以来マンドリンと言えばKさんであるが、何と背中に猫の目がついた黒いTシャツで現れた。何だか合奏中ずっと見張られているような気分である。もっと練習しようっと。

●テンポに要注意
 遅いところはより遅く、速いところはより速くなっている。久しぶりの合奏だった2楽章などは、以前はかなり遅かったのだが、今回は結構速くなっており、最後のソロは改めてさらい直す必要がありそうだ。以前より速くなったヵ所、遅くなったヵ所などをまとめておくので、欠席ぎみの出演者の方は参考にして欲しい。

 ◆速くなったヵ所
  ・2楽章−−全部
  ・3楽章−−全部
 ◆遅くなったヵ所
  ・1楽章−−前奏部分
  ・4楽章−−全部
 ◆注意が必要なヵ所
  ・5楽章−−練習番号290のあたり

 指揮者が合奏中に言っていたのだが、これまでは走ることをかなり警戒していたために、テンポを抑えることに注力していたらしい。水響のすぐ走りたがる性質を見抜いて、先回りしていたということである。さすがに長年付き合いがあるだけのことはある。でも一つだけ重要な問題点を見落としている。水響の人は本番は別人なのだ。きっと本番はまったく予想もしないテンポが出現するに違いない。

●パー練で細かなチェック
 パー練とは、パート練習のことである。1905と国立ホルニステン(前回の攻略日記の「用語解説」参照)の演奏会が8,9月と立て続けにあって土日が立て込んでいたため、ホルンパートは今までパート練習をやっていなかった(パリアメはやっていたのだが)。このため、商工会館での合奏後に、パート練習を行った。ホルンパートの課題として認識された点は次の4つ。

(1)選択と集中
 本番まで1ヵ月を切っているため、なるべくすぐ伸びそうなところ、絶対伸ばさなければならないところをさらいたおし、さらってもなかなか効果が上がらなさそうなところは切り捨てる勇気が必要である。
(2)音程調整
 これは結構難しい。パート練習で合っていても他の楽器と合わなかったりするし、バテ具合によっても違ってくる。
(3)ストップ技術の向上
 一部4thパートに低い音(個人的にはさほど低いと思えないのだが)でストップが出てくるため、なかなか難しい。結局、24日期限でできないとストップミュートを買うことに決定した(ように記憶している)。ボーナスが年に3回の会社に勤める人だから、多分大丈夫だろう。「足りない技術は金で解決」、社会人オケでは常識である。
(4)臨機応変の対応
 本番は何が起こるか分からないので、あたりまえのことではあるが、テンポなど臨機応変の対応が必要である。

●本番に向け体力増強・コントロール力の向上を
 やっぱりこれが一番の問題。合奏中は結構バテてしまったが、その後のパート練習では丁度いい具合であった。本番の日も長丁場になるので、本番中をベストの状態に持って行けるような体力の増強とコントロール力の向上が必要であろう。


 本番も近くなり、結構当たり前のことが問題としてクローズアップされてきた。やっぱり基本が重要だと再認識した次第である。「今さら基本なんて・・・」と馬鹿にせずに、本番までしっかりと基本をさらいたいものだ。


今日のワンポイントレッスン

※ダブルはトリプルを兼ねる〜タンギング

 前々回(第11回)の予告に書いたが、私はトリプルタンギングは使わない。シングルタンギングがあまり速くできないため(4分音符=120で16分音符くらい)、トリプルでは歪みが出てしまうからだ。さらに、トリプルはダブルと同じ「ku」の音を使う。この音がやっかいなのだ。
 ダブルは「tu-ku-tu-ku」だから「tu」と「ku」が交互に1:1の比率で出てくるが、トリプルは「tu-tu-ku」または「tu-ku-tu」だから、「tu」と「ku」の比率は2:1である。ダブルは苦手だけどトリプルはわりと得意という人もいるが、これは、「tu」が得意だけど「ku」が苦手とということを、図らずも暴露しているのと同じなのだ。

◆タンギングが汚い2つの原因
 タンギングをすると破裂音が入ったりする人がいるが、汚い原因は2つ、唇と舌である。「唇」つまりアンブシュアがきちんとできていないと、タンギングまで汚くなるというのがミソである。タンギングが汚いといわれる人や自覚症状があるは、唇と舌どちらにどのような原因があるのか、確かめながら練習してみると良いと思う。

◆ダブルタンギングはシラブルに注意
 ダブルやトリプルで使う「ku」という音は、舌を使わない。「tu-ku」とやったときに、舌を使う「tu」と使わない「ku」と同じイントネーションで聞こえさせるようになるためには、日々の練習でシングルとダブルを同じ比重で練習しなければならない。たが、やみくもに練習してもだめ、シラブル音程音量の3点に注意しながら練習しよう。
 シラブルは、「tu」と「ku」を同じ音色で聞こえさせるために必要なもの。音色が悪くなる場合、タンギング前の舌の位置とタンギング後の舌の位置に注意すると、改善されることが多い。
 音程が悪い場合は、唇と舌の使い方の悪さの結果と思うとよい。タンギングで空気を遮断するだけだったら、音程は変わりようがないのだ。
 音量面では、「ku」ばかり弱くなる場合は問題。できない人は。「ku-ku-ku-ku」というシングルタンギングの練習を、非常にゆっくりから始めると良い(ただし、喉を締めるクセがつかないように注意が必要である)。当たり前であるが、メトロノームを使おう

◆「tu」→「ti」へ!「ku」→「ki」へ!
 私が常々違和感を感じているのが、ダブルタンギングというと「トゥ-ク-トゥ-ク」と書いてしまう人が多いことである。日本語で表記する時は「ウ」の母音にするのが自然ではあるが、口の形から言ったら「チ-キ-チ-キ」、つまり「イ」の母音の方がしっくりくるハズである。あるいは、イントネーションを変える場合の吹き方は「ト-コ-ト-コ」かもしれない。いずれにせよ、本来は子音である「t」「k」しかないはずで、その先に来る「u」とか「o」とか「i」というのは、シラブルの問題なのだ。
 「トゥ-ク-トゥ-ク」だと思い込んで、「ウ」の口をして吹いてしまうと、高い音でダブルタンギングができないし、低い音のダブルタンギングはモコモコになってしまう。

◆ダブルがあればトリプルは要らない
 「tu」→「ti」、「ku」→「ki」とすることで、シラブルの問題は解決され、タンギング時のアンブシュアを崩す要因は排除される。さらに、「ku」より「ki」の方が「t」と比較しても遜色のない強さを得られるので、ダブルタンギングをしても、人にはそれと気づかれない。
 「t」も「k」も均等に聞こえるのだったら、敢えてトリプルをやることはない。パッセージの最後が「k」で終わっても正しく聞こえれば問題ないのだ。また、通常の音列は3よりも2で割る方が頭が混乱しないというメリットもあることを忘れてはならない。


TIKI-TIKIタンギング!(「tiki-tiki」は中南米ではヤバい言葉なので注意)


本番まで練習はあとたったの2回!!

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※用語解説※

パー練
 パート練習のこと。他人が有料でとった育児室に無理やり入り込んで広い方の部屋を占領し、しかもチューニングもせずにただパート練習をやったという実績だけを作るためにやる「パーな練習」のことではない。


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